個人再生を利用した際の減額には3つの基準があり、小規模個人再生の場合には①最低弁済額基準、②清算価値保障基準、給与所得者等再生の場合にはこの2つに加えて収入額を基準にした③可処分所得基準があります。
本稿では、最低弁済額の計算方法について詳しく解説をしていきます。
個人再生の減額基準
個人再生を利用した場合には、小規模個人再生か給与所得者等再生のいずれかの手続が適用され、その中でそれぞれの基準で弁済額を計算した上で、もっとも高い金額で弁済額が決定されます。
①最低弁済額基準(小規模個人再生、給与所得者再生)
最低弁済額基準は、債務者の債務の総額に応じて弁済額が決定されるものとなっており、民事再生法の231条2項と241条2項5号に定められています。
最低弁済額基準では以下のように負債総額に応じて弁済額が変動します。
(凡例)債権額→最低弁済額
100万円未満→債権額と同じ
100万円以上500万円未満→100万円
500万円以上1500万円未満→債権額の5分の1
1500万円以上3000万円以下→300万円
3000万円超5000万円以下→債権額の10分の1
なお、債権額は住宅ローンの残高と抵当権などで担保されている額は含めずに計算をしていきます。
その理由としては抵当権などの担保権は実行されることによって、その競売価格によって弁済に充当されることとなるからです。
もっとも個人再生の段階で住宅ローンを滞納し、抵当権が実行されてしまっている場合には、住宅ローン残高についても負債額の中に含めることとなります。
- 清算価値保障基準(小規模個人再生、給与所得者再生)
- この基準は、債務者が所有している財産の総額を計算して、その額を弁済するという基準であり、民事再生法174条2項4号に規定があります。
この財産の中には差し押さえが禁止されている財産については除外されることとなり、どの程度の金額が清算価値として計上されるかは、裁判所によって異なります。
横浜地裁での清算価値の計算方法では、全財産から99万円の現金しか控除できなくなっています。
その他の財産については、価値がどれくらいかに関係なく、全て清算価値に計上されるため、注意が必要となります。
もし自己破産を行なった場合には、上記で紹介した財産以外のものは、処分・換価された上で債権者に配当されることとなりますが、個人再生の場合には債務が減額されるにとどまり、本来であれば財産を処分すれば弁済に充当することができるにもかかわらず、最低弁済額が適用されてしまうと、債権者に不利益を与えてしまうことから、財産の総額と同じ額を弁済させることを目的としています。 - 収入額による基準(給与所得者再生)
- 給与所得者再生の場合には、こちらの基準でも計算を行うこととなります。
収入の額とは、具体的には可処分所得の2年分以上の金額のことを指します。
可処分所得とは、債務者の収入の中から所得税、住民税、社会保険料を控除し、さらに政令で定められた生活費の金額を差し引いて残った所得のことを指します。
債務整理はアレイナ横浜法律事務所にお問い合わせください
個人再生を利用する場合には、単に減額がされるという認識だけではなく、どの基準が適用されるかによって減額の幅が大きく変わってくるということにも注意が必要となります。
アレイナ横浜法律事務所では、個人再生をはじめとした任意整理や自己破産、過払い金返還請求などの債務整理に関するトラブルについても専門的に取り扱っておりますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
弁護士 水野 博之(アレイナ横浜法律事務所)(神奈川県/横浜市、川崎市、藤沢市、横須賀市)|【弁護士が解説】個人再生の最低弁済額の計算方法とは